Angio World

放射線技師目線で、血管撮影装置に関する撮影技術、線量測定や線量管理、学会トレンドや業界ニュースを紹介するブログです。

血管撮影装置 × 線量管理 × 線量記録

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初投稿になります。

初めまして。angiotechと申します。

放射線技師目線で、血管撮影装置に関連する情報を紹介していきます。

自己学習ゆえ、発信内容に間違いなどにお気づきの際は、ご教授いただけますと幸いです。

ちなみにangiotechの由来は、angiography+technician or technique(放射線技師・撮影技術)からとっています。

 概要

今回のテーマは『線量管理・線量記録』です。

2020年4月から、法改正により血管撮影装置も被ばく線量の管理及び記録』が義務付けされました。

『何をどう管理したら良いのか?』

『線量管理ソフトは導入すべきなのか?』

このブログが目にとまった方は、様々な疑問や問題点を解決しなければならなかった、あるいは今もどうすべきか悩まれているかと思います。

少しずつ、本ブログでもangiotechが勉強した内容から、現在の見解をお伝えさせていただけたらと思っております。

法改正の内容について

はじめに法改正の内容について触れたいと思います。

『平成31年厚生労働省令第二十一号』改正により、第一条の十一が新設されました。

本条項により、

  • 責任者の配置
  • 指針の策定
  • 職員研修の実施
  • 被ばく線量の管理及び記録

が義務続けされました。

つまり、『責任者の配置』、『指針の策定』、『職員研修の実施』、『被ばく線量の管理及び記録』を行わないこと、法律違反となってしまうこととなりました。

ただし、今のところ(2021年3月現在)罰則に関する規定は特にないです。

この中で、今回は『被ばく線量の管理及び記録』についてまとめます。

線量管理

線量管理として、以下がポイントとなります。

  1. 線量管理体制
  2. 検査プロトコル管理
  3. 線量管理の実施方法

本記事は、日本医学放射線学会のガイドラインを参考にしています。

www.radiology.jp

www.radiology.jp

線量管理体制

医療放射線安全管理責任者を立てて、責任者は線量管理対象の放射線診療について被ばく線量を評価する必要があります。

医療放射線安全管理責任者は、線量管理組織(医療放射線管理委員会等)において、線量管理に関する審議を年1回以上行うことが望ましいとされています。

検査プロトコル管理

検査プロトコルを一覧可能なリストを作成し、適宜見直しを行う必要があります。

リストには被ばく線量を規定する因子(管電圧、管電流、撮影回数、撮影部位、パルスレートなど)の記載する必要があります。

線量管理の実施方法

線量管理として、被ばく線量の評価を行う必要があります。

線量測定は年1回以上行い、診断参考レベル(DRL:Diagnostic Reference Level)を測定・比較検証して、防護の最適化を行う必要があります。

DRL測定方法
  1. アクリル20cmを(線量計を配置するために5cmほど浮かせて)寝台上に配置する。
  2. アクリルと寝台の間に電離箱線量計を配置する。
  3. アイソセンタより、寝台の高さを15cm下げる。(患者照射基準点へ線量計のプローブを配置する。)
  4. 透視を1分間(1min)出し、線量(mGy)を計測する。そのデータがDRLを参考にした透視線量率(mGy/min)となる。

*SID=100cm。

*Icnhサイズは、その検査で良く使用するものを選択する。

*マットはなしでOK。

DRLs2020では、透視線量率=17mGy/minです。

(この値より大きいと全国の施設と比べると線量が高い、小さいと全国の施設より線量が低い、と判断することができます。)

*DRLの考え方、各モダリティにおけるDRL測定方法などは、J-RIMEのホームページを参照しています。

www.radher.jp

 

線量記録

 線量記録は、検査・治療後の記録として患者個々の線量情報を残す必要があります。

記録項目として、「面積空気カーマ積算値」「患者照射基準点空気カーマ(or 入射表面線量)」「撮影部位」の記録が必要にります。

これに加えて、撮影枚数、又は撮影ごとのフレームレートと撮影時間の記録も行うことが望ましいです。

 今のところ、これらの項目が残っており、患者データと照合が可能であれば問題になりません。

線量管理ソフトの必要性

線量管理ソフトは、RDSR(Radiation Dose Dtructured Report)を管理するWorkStationを指します。

RDSRをざっくり説明すると、シリーズごとの細かい線量情報を持っている線量データの集合体です。比較的新しい規格のため、対応できない装置もあります。最近の装置は基本的にRDSRは出力できるようになっています。

細かい線量情報を持っているので、線量管理をする上では最適と考えられていますが、現状は、まだガイドラインに明確な記載がないため、必須ではないと考えています。

CTの場合も、例えば「エックス線CT被ばく線量管理指針(公益財団法人日本医学放射線学会)☑」においては、

  • DICOM 規格の線量レポート(DICOM Radiation Dose Structured Reports: RDSR)を作成し記録・保存すること。RDSR が作成できない CT 装置の場合は、検査ごとの被ばく線量やスキャン条件 (mAs) 等を記録・保存すること。

とありますが、 線量管理ソフトで管理すべきとは書いていません。

ただし、各種条件も含めて管理するには、線量管理ソフトがないと日々の作業が煩雑になるかもしれないです。